
こんにちは、凡主婦ムーです。
4歳の娘が年少時からハマり中のプリキュア。
その販促活動のスゴさに目を剥かれまくっているので、今日はその点について熱く語りたいと思います。
上級生の放つ言葉により、視聴前から「脳内プリキュア化」は始まる
わが家の場合、娘が「プリキュア 」という単語を発し始めたのは入園後すぐのことでした。
入園前はディズニープリンセスのアニメは見たことがありましたが、プリキュア については親子共に全く情報を持たず。
もちろん女児の世界でプリキュアという存在が燦然と輝いていることは知っていましたが、放送日なども知らなかったので実際に目に触れることはありませんでした。
ところが入園後まもなくすると、プリキュアを見たことの無い娘が「プリキュアが好き」と言い始めます。
それは少し年長のお姉ちゃんがプリキュアごっこをしていたり、上に姉を持つ子などからプリキュアについての話を耳にするにつれ、「なんだか分からないけれど、プリキュアとはとても素晴らしいもの」という自然な刷り込みが行われているのだと推察します。
そこで同じ幼稚園のママ数名に何気なく「うちの子プリキュア見たことないくせに、プリキュアプリキュア言うんだよね〜」という話をしたところ、「うちもだよ!!!」と言っていて驚きました。
まさに「プリキュア言いたいだけ状態」の女児があっという間に生産されていたのです。
デビュー前の見込み客に大がかりな宣伝を行わずとも、上から下へ、横から横へ、ねずみ講が如く脈々と伝えらていく。プリキュアの強さはまずここにあると思われます。
しかも大多数の年少の女児にとって「ごっこ遊び」というのは、寝ても醒めてもしていたいほどに魅力的な遊びであるため、プリキュアはその欲求を満たす箱としても絶好の存在。
見ていなくとも、幼稚園ではプリキュアごっこが成立しているのです。
ちなみに娘が実際にプリキュアを見たのは年少も後半の冬ごろのことでした。
仮面ライダー然り、スーパー戦隊然り、1年クールのシリーズ化の恐ろしさ
最初にこのシステムを編み出したのがどなたかは存じ上げませんが、ここはまさに家計を握る親にとって最大の恐ろしいポイントと言っても良いのではないでしょうか。
年少の冬に娘とプリキュアを見はじめ、前作の「HAGっと!プリキュア」からデビューしたのですが、“子育て”や“お仕事”など大人目線なテーマとともに、内容も未来と現在とにまたがる少し複雑な展開で、最後は私自身がすっかり楽しんでしまっていました。
こうやって一緒に見ている親の心も取り込むあたりは、さすがの一言です。
そうして愛着が湧いてきたところで、話はエンディングに。
そこですかさず、現キャラから新キャラへのバトンタッチが行われます。
そして順当に新シリーズへ突入。
するとどうでしょう。
「あ〜ハグっと終わっちゃったなぁ・・」と(終盤しか見ていないくせに)喪失感を感じていた私をおいて、子供達は驚くほどの順応性を見せるのです。
わが子も、隣家の子も、幼稚園のお友達も、「すたーとぅいんくる〜!すたーとぅいんくる〜〜!」とあっさりと新作へ心を移行。
「うそでしょ・・」
「おまえら、ついこの間まで“はぐたん”言うとったやんけ・・」
そうしてその情熱は必然的に新作のグッズへと向かいます。
娘「ねぇねぇ、もうスタートゥインクルのふりかけ出てるんだって(キラキラ)」
私「へぇ・・。」
ちょっと前にサンタクロースからもらったばかりの前作アイテムへのリスペクトは薄れ、街に着々と広がりを見せる新作プリキュアグッズに、女児たちの心はまんまと吸い寄せられていくのです。
わたしは愕然としました。
そうか、これが毎年続いていくのか。
友達と遊ぶ、競い合う、推しをつくることで強力な販促を勝ち取る姿は、アイドル商法にも通じる
「お友達」の存在は、プリキュア にハマっていくうえで欠かせない要素だと思います。
友達が好きって言っているものだからこそ、素晴らしい。
成長のひとつの過程なのかな、とも思いますが、「自慢したい」「お友達からいいなって思われたい」みたいな気持ちが、年少頃から少しずつ出てきたように思います。
そんな生まれたての虚栄心をかき立てるのにも、プリキュアは絶好の存在なのです。
プリキュアのアイテムを手に入れ、それを羨ましがられた時の優越感。
虚栄心というものを捨て去れるのは、大人でもひと握りの人だけではないでしょうか。
そう考えると、親子共にそういったものと向き合ういいきっかけにもなり得るのかもしれません。
さらにプリキュアの特徴として、ピンク・黄色・青・緑・紫などの定番イメージカラーに合わせて、レギュラーメンバーが2〜4人ほど登場します。
スパイダーマンのように、1人で戦うヒーローでは無いということですね。
そして子供なりに、自分が一番魅力的に感じるキャラクターを“自分の好きなキャラはこれ”と、しっかり選び取るのです。
主役のピンクキャラや、活発な黄色キャラ、知的な青や紫キャラといったそれぞれから、見た目・強さ・生活背景などを園児なりに汲み取り、自分がなりたいと思う姿・価値を見出している。
そこにはやはり個性があり、どこに価値をおいて誰を選ぶのかは子供によって違います。
数あるなかから自分の推しを選び、応援することでよりファン心理をかき立てるといえば、近年のアイドル商法にも通じるものがあるのではないでしょうか。
先輩プリキュアに新人プリキュアを宣伝してもらうという異次元の営業活動
私たち親子が見始めたのがシリーズ15作目の「HAGっと!プリキュア」だったのですが、最新作の「スタートゥインクルプリキュア」が始まってすぐ、春に劇場版プリキュアが公開されました。
春と秋の年に2度ほど劇場版は公開されるようで、その際にはプリキュアTV放送時の宣伝CMはもちろん、オープニング・エンディングの映像や楽曲までもが劇場版とリンクします。
そして、ここ数年のプリキュアの傾向のようですが、劇場版は直近の過去作品のキャラクターとコラボさせた内容で作られているのです。
まだ前作品への愛着が強くあるうちに、新旧キャラを取り混ぜた作品にすることで、前作ファンを取り込み、新作もさらに好きになってもらおうという思惑が見え隠れします。
実際、春の劇場版は「新作プリキュアお披露目」の側面が強いようですね。
ちなみに、劇場版には過去全作のプリキュアを総動員させた“プリキュアオールスターズ”シリーズなるものまで存在します。
もはや全員集合させるだけでタイムアップなのでは・・。
売れるものは全て売りつくす姿勢
プリキュアTV放送時のエンディング曲において、プリキュアメンバー達がアイドルさながらのダンスを踊るのです。
初めて見た時に驚いたのですが、もうね、本当に踊ってもらうためのダンスに仕上げているのです。
6作目の「フレッシュプリキュア」から、モーションキャプチャのCGを使ったエンディングに変わったそうなのですが、女児達の瞳を釘付けにするのも納得のクオリティなのです。
この背後に振り付け師やプロダンサーなど、たくさんの大人の力が・・と、イチ主婦としては思わず金勘定を考えてしまいます。
しかしそこはさすがの宿敵、我らがプリキュア販促戦隊。
なんと、エンディングダンスを踊る際にキャラクター達が手に持つ、エンディングにしか登場しないアイテムが存在します。
エンディングによる、エンディングのためだけのアイテム。
はい、これ売ってます。
これを商魂と呼ばずして、なんと呼ぼうか。
大人のお友達への惹きも忘れない
プリキュアは、子供逹だけのものではありません。
一定の大人のファンが存在します。
まだプリキュアを視聴する前、某遊園地でたまたまプリキュアショーに遭遇したのですが、そこには成人男性の姿がありました。
ショーの後に行われるプリキュアに扮した着ぐるみとの撮影会においても、その列の中に並び、着ぐるみのプリキュアとさも嬉しそうに撮影をされていました。
その時には少なからず衝撃を受けましたが、今実際にプリキュアを見たうえで、頷ける要素は確かにあるように思えます。
子供向けDVDコーナーで、プリキュアのDVDを熱心に吟味している青年に出くわしたこともありますが、確実に一部の男性に刺さっているわけです。
もちろん、小さな女の子のために作られているであろうことは間違いないですが、大人のお友達への惹き要素も散りばめられているように思えるのです。
どこがどうとは言いませんが。
勝手に萌えているのか、萌えさせられているのか。
ニワトリが先か卵が先かではないですが、これは答えのない問いでしょう。
しかし重要なのは、そこに萌えている大人が存在するということです。
そして、自由なお金を持った大人達は当然、売り上げの確かな担い手となっていることでしょう。
高価格帯から低価格帯まで周到に用意された、膨大な数のグッズたち
たとえば現在放送中のスタートゥインクルプリキュアですが、変身アイテムとしてスターカラーペンダントというものが存在します。
ネックレス状の本体と、その本体にスイッチを押すような形で使用されるペンの2つのパーツから成り立つのですが、この時点でもう商品は2つ存在します。
そしてこの本体とペン、高価格帯から低価格帯まで、大体以下の商品が現在販売されています。
【松】スターカラーペンダントDX (アマゾンで約5千円)※2019.5月時点
- 登場キャラ4人全員分のスターカラーペンが付属
- 変身シーンの音楽を奏でる
- ちょっとしたゲーム付き
- 攻撃ペンを追加購入すれば攻撃モードも楽しめる
【竹・上】スターカラーペンダント (アマゾンで約3500円)※2019.5月時点
- 基本的に上記【松】と同商品で、主役のキュアスターへの変身ペンのみが付属
- 他メンバー3人の変身ペンも欲しければ、追加購入可能(変身ペンセット約1300円)
【竹・下】ミニ・スターカラーペンダント (西友などで約1000円)
- ミニサイズのペンダント・ペンのセット
- 音が鳴るなど、特別な機能はなし
【梅】食玩・ガチャポン商品(300円〜)
- 食玩ではガムひとつにスターカラーペンが1種類付属など
このように、スターカラーペンをひとつとっても松竹梅のラインナップがなされています。
その中でも侮れないのが【梅】商品の数々。とにかく膨大な数です。
スーパーではガチャガチャの誘惑をかわすために買い物に集中できず、その結果牛乳を買い忘れて再びスーパーへ行くはめになるなどは日常茶飯事。
ふいに訪れたコンビニやファミレスでもゲリラ攻撃に遭い、もはやこの日本に安全な場所は無いのではないかと思うほど、日常のあらゆる場面でプリキュアグッズは顔を出します。
ちなみに100ショップでも売ってます。
そしてこれらの梅価格帯グッズが、我々母親達の心の隙にすっと入り込んでくるのです。
いつもはスルーできるのに。
「今日はもう、ガミガミ言いたくない・・」
「説得してる時間がない・・」
そんな日に、梅価格帯の商品たちがささやきます。
「どうせおやつは買うんだから、おもちゃがついてたっていいんじゃない?」
「100均でしょ?ひとつくらい、いいんじゃない?」
そんな悪魔の声に負けて、今日もどこかで善良な母親が財布の紐をゆるめているのでしょう。
販促戦隊からすれば、ちょっとした安い商品でもきっと構わないのです。
ひとりでも多くの子がひとつでも多くプリキュアグッズを持つことで、プリキュアの価値が拡散されていくのだから。
ノート、パッド型アイテムを作ることで、幼児アニメのおもちゃながら1万円近い高額商品の販売も成し遂げる
色んなゲームやお勉強アプリが搭載されたパソコン・タブレット型のおもちゃ。
おもちゃコーナーなどで最近はよく目にしますよね。
こういうタイプの商品、アンパンマンやディズニーなどのキャラクターを使って、親しみやすく作られているものが一般的です。
そしてここでも、プリキュアのグッズ販促に対する情熱のすごみを見せられます。
プリキュアはこの商品を、実際にアニメの中でアイテムとして登場させているのです。
「HAGっと!プリキュア」 “ミライパッド”・・・プリキュアだけが 使える、タブレットPC状の端末。 未来からきたスーパーツール。
「スタートゥインクルプリキュア」 “トゥインクルブック”・・・本とペンが 一体になったアイテムで、 宇宙を救うためにプリキュア達を導く ものらしい。 アニメの中で妖精(?)フワをお世話 するアイテムとしても使用。
前作「ハグプリ」では未来からのスーパーツールということでまんまタブレット商品化を実現。
今作「スタプリ」においては、付属のスターカラーペンを使ってフワのお世話をするという、たまごっち的要素も加わっています。
これはもちろん、「タブレット商品も作って売るぞ」という大前提のもと、アニメが制作されているわけです。
商品を売り、夢を売る
すべてはグッズ販促のため。
これはプリキュアの根底に流れるひとつの真実だと思います。
しかし、私は決して「この銭ゲバめ!」と糾弾するつもりで長々と書いてきたわけではないのです。
単純にすごいと思うのです。
「商品を売る」というゴールを、明確に意識している。
そのうえで、「夢を売っている」。
販売側と制作側のどちらかが一人歩きしたりしていては、きっとうまくいかないでしょう。
現場のお客様思考が、販売に繋がっていないケースとか。
営業側と制作側が対立関係になっているケースとか。
しかもプリキュアに関して言えば、商品開発や販売はバンダイ、アニメーション制作は東映アニメーションが行っているようです。
ひとつの会社内でも難しいことを、ふたつの会社にまたがって成功させている。
ものすごくコミュニケーションを必要とするでしょうし、たくさんのノウハウが蓄積されているのでしょう。
「行動をデザインできる企業」や「ストーリーを売る企業」が成功するなんて言いますが、私達大人がプリキュアから学べることも多いのではないでしょうか。
もしプリキュアがあと10年くらいその地位を築き、絶対的なアイコンとなったなら、中高生に向けて「プリキュア流・販促セミナー」とかやってくれないかなぁ。
最後に
長くなりましたが、最後にわたくし凡主婦がプリキュアのメインターゲット(未就学児)を子に持つ同志達に向けて、かの有名な孫子の格言をひとつ。
彼を知り、己を知れば百戦殆うからず。
私達の敵がいかに強大な相手であったか。まずはここをしっかりと認識することが大切です。
プリキュア販促戦隊との戦いは、今日も子育ての現場で繰り広げられているのですから。
敵をよく理解して。
たまにはその懐に飛び込んで。
「買って・買わない」の不毛な争いに終わることなく、我慢することの大切さやお金の価値を学ぶ場になるよう。
また友達との共通の遊びや、演じる楽しさを通して、子供たちに成長の実りをもたらすことを祈って。
完