こんにちは、凡主婦ムーです。
私もしくは子供たちが個人的に大好き!!な絵本だけを紹介するコーナー、第二弾です。
本日紹介するのは、こちら!

めっきらもっきらどおん どん/長谷川摂子 作・ふりや なな 画/福音館書店
これは娘と息子はもとより、私自身も大好きで、何度も読み聞かせた本です。
この本の魅力を挙げればきりがないほどたくさんあるのですが、なにより「ファンタジーのドキドキ・ワクワク」がこんなにぎゅっと詰まった絵本はなかなか無いのでは?と思います。
あらすじ
すると、どどーっと かぜが ふき、
かぜに のって きみょうな こえが きこえてきた。
「よお よお、ええうた ええうた」
「おなかが ぽんぽん はじけるぞ」
「こっちゃこい こっちゃこい、こっちゃきて うたえ」
「めっきらもっきら どおんどん」より一部抜粋
遊ぶともだちを探して神社まで来たけれど、誰も見つからない。
しゃくだからとかんたは、大声でデタラメな歌を歌います。
するとどこかから声がして・・。
激推しポイントを語る!
ファンタジーの扉を開くのは・・
なんといってもこの絵本の見どころはファンタジーの世界。
まず、その不思議な世界への扉の開き方がすごく良い。
主人公のかんたがでたらめで作った、へんてこな歌を歌ったことをきっかけに異世界へ行ってしまうのですが、この歌・・というか「言葉」がおもしろくて、適当に歌ってもなんとなくリズムがつけやすいです。
不思議な冒険がへんてこな歌から始まるというのが、ファンタジーの気分を盛り上げてくれてとっても素敵だなと。
そして歌は、物語を通して重要なアクセントやキモになっていきます。
ちなみにこの歌、前述したように適当でも歌えるような語呂の良い言葉になっていますが、実際の音源があり、CDも出ています。
わらべうたのような雰囲気で、すごく耳に残ります。できれば音楽にのせて歌ってほしい!
さらに今回調べていて、こんな記事を発見。
こちらのサイトで作者の長谷川摂子さんがこの歌を作った経緯をお話されていて、「歌から生まれた」絵本だったというのを知って興奮してしまいました。
決して“かわいくない”おばけ達
はっきり言ってこの絵本に出てくるのは“かわいいおばけ”ではないです。
むしろ薄気味悪い、ちょっと日本的な化け物や妖怪といった雰囲気。“もんもんびゃっこ”なんてなかなかキョーレツな見た目で、悪い夢を見そうなくらい。
しかもどアップで登場するもんで、怖がる子供もいるかもしれません。
でも、そのインパクトのあるおばけ達がとても良いんです。
頭にズコーンと突撃してくる感じ。
個人的に、「ねないこだれだ」なんかもそうですが、絵本の中にドキリとするような怖さのあるものは、子供にとって深く印象に残りやすい気がします。
だけど“怖がらない”かんたのキャラクター
そんな怖い面構えのおばけ達を前にした、かんたの堂々たること。
確かに自分とは違う「変ないきもの」に会っているのに、すごく自然体でフラット。
けんかをするおばけ達に向かって、「うるさいっ!」とぴしゃりと言ってのけるかんたがまた良いのです。
おばけとかんたの距離感
対するおばけ自身も、単純に「あそぼう!」「あそびたい!」という動機でかんたを連れ回すんですね。
怖がらせるわけでも、「友達になろうよ」と友情ストーリーに持っていくわけでもなく、自然な距離感がそこにあるのがまた不思議でおもしろい。
舞台・小道具・演出と、それを魅せる絵
ファンタジーの世界を魅力的に書くにはその舞台や演出もとても大事だと思いますが、これがまた良いんですね〜。
大木の穴に吸い込まれ、着いたところは「よるのやま」だったり。
モモンガのように飛べる風呂敷に、海が見えるビー玉、月をひっかける縄跳び。
空飛ぶ丸太に、疲れたあとにたべる、木になるおもち・・。
全部の演出がとても魅力的できらきらしていて、さらにそれをきれいな絵で描ききっているのです。
ページを大胆に使ったダイナミックな絵にも引き込まれます。
現実の世界へ戻す鍵となるのは・・
そして最後にかんたを現実の世界へ戻す鍵となるのが、「おかあさん」というところがまた憎いですね。
「そうか、子供って本当はいつも大人には見えない不思議な世界とたわむれていて、それを私たちが呼び戻しているのかもしれない」
そんな気持ちにさせられるのです。
読み手も楽しくさせる1冊だった!
これを書きながら、絵本を読み返しながら、気付いたことがあります。
それは、この本が「読んでいる人」も楽しくさせる1冊だということ。
言葉選びがとっても魅力的だからかもしれませんが、この本を読み聞かせていると、読んでるこっちが“ノッて”きちゃうんです。
まるで読み聞かせのナレーターにでもなったような気持ちで、ノリノリで読んでしまう自分がいるんです。
そして読み手が心から楽しんで読んでいれば、そりゃあ聞いてる子供も楽しくなるんじゃなかろうかと。
そんな、まさに名作と言わざるを得ない「ザ・名作」であるこの一冊。
まだ読んだことがない方は、ぜひご一読を!